お彼岸とは
お彼岸は3月の春彼岸、9月の秋彼岸があります。お彼岸の中日である春分の日、秋分の日は国民の祝日です。昭和23年に公布された「国民の祝日に関する法律」の第2条に、各祝日の主旨が定められています。それによれば、春分の日(春分日)は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」祝日、秋分の日(秋分日)は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」祝日なのだそうです。
古来、日本人にとって自然や動植物というのは支配すべき対象ではなく、ともに生き、時に生かされるような存在です。お彼岸にはご先祖のみならず、自然や動植物に対しても感謝と敬意、慈しみのこころをもって接するようにしたいものです。
また煩悩と迷いの世界である「此岸」から悟りの世界「彼岸」へ到達するために、六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧という六つの実践徳目のこと)の修行を行ないます。彼岸はその修行をするための期間でもあります。
お彼岸の基本はお墓参りですが、仏壇にも普段より少し立派なお供え物をします。お花一対をあげるほかに、お墓参りのときにあげたような「ぼたもち」もしくは「おはぎ」をお供えしましょう。また、ごま豆腐やこんにゃく、野菜の煮びたしなどといった精進料理を、お餅と一緒にお膳に並べてお供えします。料理の種類やお供えの期間は、地域や家の考え方によってさまざまです。仏壇のない家であれば、位牌と遺影を並べ、その手前にお膳を供えるだけでも、立派なお彼岸セットになることでしょう。
先祖が戻ってくる時期「お盆」
お盆というのは、ご先祖様を供養する儀式で、正式には「盂蘭盆(うらぼん)」と言います。「ご先祖の霊がこの世に里帰りする」大切な時期と考えられており、ご先祖様の霊を招いて供養します。
お盆の期間は、一般的には8月13日~16日の4日間とされています。かつては、旧暦の7月13~16日がお盆でした。新暦でいうと、8月中旬~9月初旬ごろです。明治6(1873)年に日本は新暦になり、多くの地域では、分かりやすくちょうど1カ月ずらして(月遅れにして)、8月15日前後に行うようになりました。このお盆は、かつての旧暦のままに近いので「旧盆」「旧のお盆」と呼ばれることもあります。
お盆の前には仏壇を綺麗にし、お盆の入りの前日には精霊棚(盆棚)を設けます。仏壇の前に小机や台を置き、真菰やスノコを敷いて簡単な精霊棚をしつらえます。精霊棚には仏壇から位牌を出して、三具足を置き、季節の果物や野菜を供えます。
13日の夜には先祖の霊が迷わないように、庭先や玄関先におがらで迎え火をたきます。16日の夕方には迎え火と同じ場所で送り火をたいて霊を送ります。