第52回葬儀・法要コラム「遺言の撤回と変更」

遺言の全てあるいは一部を撤回・変更する場合

 

 遺言の全てを撤回したい場合は、自筆証書遺言・秘密証書遺言であれば破棄すればOKです。公正証書遺言の場合は公証役場に出向き、破棄の手続きか新たに破棄する旨の遺言書を作成します。新しい遺言書は自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言のどれでも構いません。遺言の撤回をする場合は前回の方式と同じである必要はありません。

 遺言の一部を撤回・変更する場合は、遺言中の撤回する条項を明示した上で撤回後の内容を記載し、また、それ以外の条項については従前の内容を維持する旨の文言を記載します。

 自筆証書遺言であれば、法律で決められた加除訂正の仕方に従って、遺言書の原文に手を加えます。ただし加除訂正が多い場合は、書き直した方が良い場合もあります。公正証書遺言の場合は、公証役場に出向いて訂正を申し出るか、新たに変更や撤回部分を記した秘密証書遺言や公正証書遺言、自筆証書遺言を作成します。秘密証書遺言の場合は、新たに撤回や変更部分を記した遺言を作成します。遺言書が2通以上ある場合は、最も新しい日付の新しい遺言書が有効とされる規定です。

 

遺言の撤回はいつでもできる

 

 遺言は遺産の相続にあたって遺言者の最終意思を尊重する制度ですので、いつでも撤回・変更することができます。遺言の全部または一部を撤回する場合、遺言作成者は新たに遺言を作成し、その遺言で前に作成した遺言の全部または一部を撤回する旨を内容にすれば前の遺言は撤回したものとみなされます。したがって、民法上は、一度遺言書を作成した場合であっても、遺言者はいつでもその遺言を撤回することが可能です。公証役場で作成した公正証書遺言でも、撤回することが可能です。

 

遺言書を撤回・一部変更する文例

 

「自筆証書遺言を全部撤回する場合」

遺言者は、○○○○日付で作成した自筆証書遺言を全部撤回する。

「自筆証書遺言を一部撤回する場合」

遺言者は、○○○○日付で作成した自筆証書遺言中、第○○条の「遺言者は、第一項記載の建物を妻○○に相続させる」とする部分を撤回し、「遺言者は、第一項記載の建物を長男〇〇に相続させる」と改める。その余の部分は、すべて上記自筆証書遺言記載のとおりとする。

「公正証書遺言を全部撤回する場合」

遺言者は、○○○○○○法務局所属公証人○○作成の令和○○○○号の公正証書遺言を全部撤回する。

「秘密証書遺言を全部撤回する場合」

遺言者は、○○○○日付で作成した秘密証書遺言を全部撤回する。

 遺言を全部撤回する場合には、遺言撤回書の中で、遺言を全部撤回するという内容の条項を記載しておけばいいことになります。また一部撤回する場合は、遺言中の撤回する条項を明示した上で撤回後の内容を記載し、また、それ以外の条項については従前の内容を維持する旨の文言を記載します。

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