墓標の代わりに樹木を植える樹木葬
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木をシンボルとするお墓です。桜や紅葉、ハナミズキなどのシンボルツリーの周りに遺骨が埋葬されます。樹木葬と一口に言ってもそのスタイルは様々で、樹木ではなく草花や芝生で彩られたガーデン風のものなどもあります。
樹木葬が選ばれる3つの理由は
① 墓石代・管理費がかからない
必要な費用を支払うのは最初のみ。その後は、毎年の管理費などを払う必要は一切ありません。また、樹木葬では、墓石を建てないので、単純にこの分の金額は抑えることができます。
② 継承者や管理の心配がない
樹木葬は基本的に一代限りの個人墓の形であるため、次の世代に負担をかける心配がありません。 お墓の管理はお寺で行ってくれるので、跡継ぎがいない方でも管理の心配がありません。
③ 宗教・宗旨・宗派は不問
宗教や宗派に関わらず、どなたでもお申し込みできます。
遺骨を自然に還す散骨
細かく砕いた遺骨を、山海に撒き、最終的には自然と融合していく葬送(自然葬)の方法の一つです。 全てのお骨を散骨することも出来ますし、一部だけを散骨する方もいます。 ①自然に帰れるから、②お墓を作るのは高額だから、③お墓に意味を感じない、④本人が希望していたから、⑤お墓を承継する人がいないから(いなくなるから)、⑥お墓に関して親戚との関係が煩わしいから、⑦お墓の中に入っている人とそりが合わなかったから、⑧暗くて狭いお墓には入りたくない、⑨想い出の土地に眠りたい、など理由は様々ですが、散骨への関心は高まっています。
遺体の火葬や遺骨の埋葬について定めている「墓地、埋葬などに関する法律」(墓地埋葬法)には、散骨について規定がありません。墓地埋葬法によれば、遺骨を墓地以外に埋葬するのは違法ですが、遺灰をまく散骨については、「葬送のため節度をもって行えば遺骨埋葬罪にはあたらない(違法ではない)」という解釈がとられています。ただし、散骨が広がるにつれ、自治体の中には散骨や散骨場の経営を禁止する条例を制定したところもあります。
散骨後の法要
これから散骨をしようとする方の質問で意外に多いのが「散骨した後で供養したくなったらどうすればいいの?」という内容です。散骨では、遺骨を全てまいてお墓を建てないケースもあれば、大部分は墓に納め、遺骨の一部をまくケースもあります。
宗教儀礼に則った「法事・法要」を行うには、宗教者の存在が不可欠です。しかし、全てを散骨していて遺骨が手元になくても法事や法要を行うことは可能です。
例えば、お墓に納骨されている方の法事をご自宅の仏壇前で行うこともあります。普段からお付き合いのある宗教者がある場合や、葬儀が宗教儀礼に則っている場合は、散骨していても、その宗教に則った法事や法要が行われることが一般的です。宗教者との相談によっては、法事に代わる催し、例えば宗教儀礼を行わずに節目の年に縁のある人が集まって食事会をするなどが可能になる場合もあります。
もちろん、宗教儀礼を行った後にそういった食事会を催すこともよいと思います。その際に、散骨した海が見えるレストランなどを会場に選ぶことができれば、それも立派な法事・法要になるでしょう。