遺体の安置の仕方
病院で亡くなり、直接、通夜を行う会場に運ぶ場合は、すぐに納棺することもありますが、自宅で亡くなったり、病院から自宅に戻った場合は、ご遺体は納棺するまでは、頭を北に向け、足を南に向けて布団に寝かせて安置します。家の間取りの都合などで北枕にすることが難しい場合は、西枕にするか仏壇に頭を向ける方向に安置するようにしましょう。
敷き布団はなるべく薄いものを一枚敷き、新しいものか清潔な白いシーツを用意しましょう。掛け布団は一枚、天地を逆さにしてかけます。ご遺体を温めないように薄い布団を選びましょう。枕は無くてもかまいませんが、使う場合はあまり高くないものを選びます。
掛け布団の上や枕元には、魔よけとされている「守り刀」を置きます。魔物を払い、数珠の効果とともに、故人が死後の世界へ無事にたどり着けるようにするという意味合いがあります。自宅にある小さなナイフやカミソリなどが使われますが、最近では葬儀専用の模造品や木刀などを用いることも多くなっています。刃先は足の方に向けます。なお浄土真宗では守り刀を供えるしきたりはありません。
枕飾りについて
ご遺体の枕元には、「枕飾り」をします。小さな机に白い布をかけた祭壇を設けます。そこに三具足(香炉・燭台・花立て)をお供えするのが一般的です。このとき、ろうそくと線香の火を絶やさないように気をつけましょう。花立てには、しきみを一枝供えます。しきみには仏に供える花として昔から用いられてきましたが、ないときは菊、白百合、水仙などの花一輪を供えます。
また、そのほかに水をいれたコップ・一膳飯・枕団子・仏壇の鈴などを飾ります。ただし、浄土真宗では鈴・水・一膳飯は飾らないのが一般的です。
自宅に神棚がある場合は、神棚の戸を閉じて半紙を貼っておきます。これを「神棚封じ」といいます。戸を閉じて封印するときは、テープなどでとめるようにしましょう。神棚封じの目的は、死の穢れ(けがれ)が神棚という神聖な場所に入り込まないようにするもので、神道の考えから来ています。神棚封じの間はお供えや礼拝なども行わないようにして、忌明けになったら半紙を取り封印を解きます。
枕飾りをしたら僧侶にお経(枕経)をあげてもらい、この間、遺族は僧侶の後ろに控えています(枕勤め)。
仏名の構成
戒名はいくつかの要素で構成されています。僧侶が故人の人となりを鑑み、それぞれの部分に故人にふさわしい文字が使用されます。
本来はもともと2文字だけで構成されていましたが、社会的貢献度や信仰心の篤さなどに対して院号や道号、性別や大人か子供かを区別する位号などが加わり、現在のような長さになりました。
宗派によって多少の違いはありますが、一般的には次のような構成になります。
男性の場合
○○院殿○○○○大居士、○○院○○○○居士、○○○○居士、○○○○信士
女性の場合
○○院殿○○○○清大姉、○○院○○○○大姉、○○○○大姉、○○○○信女
子供の場合
○○童子
幼児の場合
○○孩子(孩女)
※宗派によって違いがあります
戒名・法名・法号(仏名)の依頼
戒名は、仏門に帰依したときに受ける仏教徒としての名前であり、総称して「仏名(ぶつみょう)」と言います。仏名は、仏の弟子となった証として与えられるもので、宗派により異なり呼び名も異なります。天台宗、真言宗、浄土宗、禅宗は「戒名」、浄土真宗は「法名」、日蓮宗は「法号」といいます。
本来、戒名は、生前に出家して仏門に入り、戒律を受け入れ仏の弟子になった人に授けられます。今日では、「没後作僧(もつごさそう)」といって、在家(ざいけ)、つまり一般の人が仏の弟子として極楽浄土に往生できるようにするため、死後に戒律が与えられ戒名を授けてもらいます。
仏名は、菩提寺でつけてもらいます。遅くとも葬儀までにはつけてもらいますが、菩提寺が遠隔地の場合や菩提寺や宗派がわからない場合は葬儀を俗名で行い、戒名が納骨のときになることもあります。