行政書士が語る「誠実・確実」の仕事哲学——相続・事業承継・建設業許可の現場から

第1章:地域に根ざした専門家という存在

地方都市に事務所を構えるある行政書士の先生は、「顔の見える環境の中で仕事をしたい」という思いを大切にしながら、地元でのキャリアを歩んできました。都市部への出向を経て地元に戻り、地域の人々の暮らしや事業に寄り添う専門家として、13年以上の実績を積んできた先生です。

取り扱う業務は、相続・遺産整理、事業承継、そして建設業許可申請と多岐にわたります。どの分野においても共通しているのは、「手続きを単にこなすのではなく、その方が何に不安を感じ、どうなりたいのかを理解した上で仕事を進める」という姿勢です。本稿では、先生の仕事哲学と実践の現場をご紹介します。

第2章:相続・遺産整理——人生の節目に寄り添う仕事

相続の相談に来られる方の多くは、不安や迷いを抱えた状態にあります。法律的に正しい手続きを進めることはもちろんですが、それだけでは不十分だと先生は言います。「当事者の気持ちや将来まで見据えて整理していくことが、本当の意味での支援につながる」という信念が、先生の実践の根底にあります。

遺産分割協議の現場では、法的な手続きの遂行とともに、感情的な対立の調整役を求められることも少なくありません。積年の感情が噴き出す場を、焦らず丁寧に整理し、全員が納得できる結論へと導く——そのプロセスの積み重ねが、「安心して任せられる」という信頼につながっています。

先生はまた、「相続はお金や不動産だけではなく、亡くなった方の想いを継ぐこと」という視点も大切にしています。この捉え方は、対話の中で相談者の心をほぐし、感情的な対立を和らげる効果も持っています。

第3章:事業承継——地域産業の継続を支える

先生が力を入れているもう一つの分野が、事業承継です。特に建設業を中心に、高齢化による廃業や後継者不足が深刻な問題となっている地域の実情があります。「地域になくてはならない産業が途絶えてしまうのは、地域全体の損失。できるだけその受け皿になれるよう、引き継ぎを繋いでいきたい」と先生は語ります。

事業承継は、法的手続きだけでなく、先代の経営者が積み上げてきた信頼関係や企業文化をどう引き継ぐかという問題でもあります。この点も、相続と同様に「想いを継ぐ」という観点と深くつながっています。単なる手続き代行ではなく、経営者の思いを受け継いだ次世代への橋渡し役として、専門家の役割はますます重要になっています。

第4章:建設業許可——地域の事業者を支える縁の下の力持ち

行政書士業務の中でも、安定的な柱となっているのが建設業許可申請のサポートです。500万円以上の工事を受注するには許可が必要であり、その取得・更新手続き、さらには公共工事入札のための経営事項審査まで、対応範囲は広範にわたります。

先生が現在関与している事業者は約300社にのぼり、毎年必要な手続きや5年ごとの更新手続きを継続的にサポートしています。最初は「何でもやります」という姿勢で地道に経験を積み、誠実な仕事ぶりが口コミで広がり、今の規模へと成長してきたといいます。

先生は言います。「建設業の許可を取れる状態を整えておくことが、地域の建設事業者が安定して仕事を続けていくための基盤になる。その基盤を支えることが、自分の役割だと思っています」。この言葉には、地域産業を守るという強い使命感が込められています。

第5章:「誠実・確実」の仕事哲学が生む信頼

先生が事務所の理念として掲げているのが「誠実・確実」という言葉です。どんな相談であっても誠実に向き合い、求められる結果を確実に届ける——この当たり前のことを愚直に積み重ねてきた結果が、紹介による依頼が増え続ける現在の姿につながっています。

また、「困ってから相談に来る」のではなく、「困る前から相談できる関係づくり」を目指しているのも、この先生の仕事の特徴です。相続・事業承継・建設業許可といった分野では、早め早めの対応が結果を大きく左右します。こうした知識を気軽に相談できる専門家が地域にいることの価値は、計り知れません。

100年先も必要とされる事務所を目指すというビジョンのもと、先生は今日も地域の人々の人生と事業の節目に向き合い続けています。お寺の住職をはじめ、地域で人々と深く関わる立場にある方々にとって、こうした専門家との連携は、檀家・地域住民の安心を支える大きな力になるはずです。

 

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※本記事はインタビューをもとに構成しています。個人・地域が特定できる情報は一部変更しています。

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