寺院の葬儀サービス:透明性と信頼の裏にある課題

包括的な葬儀サービスへの取り組み

今回は愛知県愛西市にあります【浄土宗励声山 大法寺の住職:長谷雄蓮華様】にインタビューさせていただきました。

浄土宗励声山 大法寺の住職:長谷雄蓮華様

 

 

大法寺の特徴といたしまして、火葬から法要、納骨までを一括で提供する包括的な葬儀サービスを展開しています。

年間約150件もの葬儀を手がけ、地域の人々に信頼される存在として知られています。

サービスは「インクルード」と呼ばれるパッケージ型で、明確な料金体系を採用しています。

従来の葬儀業界でよく見られる不明瞭な追加料金を排除し、利用者にとって手頃かつ透明な選択肢を提供しています。

この寺院の特徴は、単に葬儀を執り行うだけでなく、故人や遺族の思いに寄り添い、丁寧な対応を心がけている点です。

例えば、事前に故人が契約を結んでいた場合、その意志を尊重し、家族に負担をかけない形で進められます。

しかし、こうした透明性と誠実さをもってしても、葬儀には多くの課題が伴います。特に、支払いに関するトラブルや家族間の意見の相違が、寺院にとって大きな負担となることがあります。

支払いトラブルの実態

住職が語ったエピソードの中でも特に印象的なのは、ある父親が事前に契約した葬儀に対し、ご家族が「こんな葬儀を望んでいなかった」と支払いを拒否したケースです。

しかし、葬儀後に息子が現れ、「父親の選択には同意できない」と主張。結果として、寺院はサービスを提供したにもかかわらず、支払いを受けられず、3年以上にわたり連絡を試みるも解決に至っていません。

このようなケースは、全体の葬儀件数(約150件)の1〜2%程度と稀ではありますが、寺院にとって大きな負担です。

支払いのトラブルとしてはここ数年で起こっているケースがほとんどとの事。

 

住職によると、こうしたトラブルは「後出しじゃんけん」のようなもので、葬儀が終わった後に突然不満を表明されることが多いといいます。

さらに、分割払いを約束しながら連絡が途絶えたり、約束した金額と異なる少額しか支払われなかったりするケースも存在します。例えば、ある家族は「分割で払う」と約束したものの、1〜2回支払った後に音信不通になり、寺院側が追い続ける状況が続いたこともあるそうです。

法的措置の難しさ

こうした支払いトラブルに対し、寺院はどのように対応しているのでしょうか?

住職によると、法的措置を検討することもありますが、弁護士費用が問題の金額を上回る場合が多く、現実的ではありません。

例えば、60万円の葬儀費用を回収するために弁護士を雇うと、費用がそれ以上にかかる場合もあるため、結果的に寺院が損失を被る形になります。

このため、寺院は直接家族と連絡を取り、話し合いを通じて解決を図るのが一般的ですが、それでも支払いを拒むケースでは打つ手が限られてしまいます。

住職は「ちょくちょく連絡を取ってはいるんですが、それでも払ってくれない」と苦笑いしながら語ります。

特に、故人との関係が希薄だった家族や、葬儀に対する価値観が異なる場合、支払いを渋る傾向があるようです。このような状況は、寺院にとって金銭的な問題だけでなく、精神的な負担にもつながります。葬儀は故人を送り出す大切な儀式であり、寺院側は心から誠意を持って対応しているだけに、こうしたトラブルはやりきれない思いを残します。

地域や業界との関係性

支払いトラブル以外にも、寺院は地域の他の寺院や葬儀業者との関係性においても課題を抱えています。インタビューでは、他の寺院から「儲かっているんじゃないか」と嫉妬や批判を受けることがあると明かされました。

インクルード型のサービスや透明な料金体系が、従来の慣習と異なるため、一部で反発を招くこともあるようです。さらに、領収書の発行やサービスの透明性を徹底していることが、かえって他との軋轢を生む場合もあるといいます。

こうした外部からの圧力に対して毅然とした態度を貫いています。

実際、寺院のサービスが高く評価され、年間150件以上の葬儀を手がけている背景には、利用者からの信頼があるからこそ。こうした信頼は、透明な料金体系や丁寧な対応によって築かれてきたものです。

時代背景と葬儀業界の変化

住職によると、こうした支払いトラブルや家族間の意見の相違は、ここ数年で特に目立つようになったといいます。

背景には、家族形態の変化や価値観の多様化があるのかもしれません。かつては家族全員が葬儀の重要性を共有し、故人の意志を尊重するのが一般的でしたが、現代では個人主義が強まり、葬儀に対する考え方が家族内で大きく異なるケースが増えているようです。

また、葬儀業界全体でも、コスト意識の高まりや簡素化の傾向が見られます。この寺院のように、60万円で包括的なサービスを提供するモデルは、従来の100万円を超える葬儀費用に比べると破格です。しかし、それでも「高い」と感じる人や、支払いを避けようとする人が出てくるのは、現代社会の複雑さを反映しているといえるでしょう。

今後の展望とメッセージ

住職は、こうした課題に直面しながらも、寺院の使命を果たすために前向きに取り組んでいます。「葬儀は故人との最後の時間。家族が納得できる形で送り出してあげたい」と語る住職の言葉には、深い思いやりが感じられます。支払いトラブルや外部からの批判に屈せず、透明性と誠実さを貫く姿勢は、多くの利用者に支持されています。

寺院では、今後もインクルード型のサービスを続け、利用者が安心して葬儀を任せられる環境を整えていく方針です。また、こうした経験を公開することで、葬儀計画における明確なコミュニケーションの重要性を訴えています。家族間での事前話し合いや、契約内容の共有が、こうしたトラブルを防ぐ第一歩となるでしょう。

この寺院のサービスについてもっと知りたい方は、https://www.daihouji.org/をご覧ください。葬儀に関する相談や、事前の準備についても、気軽に問い合わせができる環境が整っています。

浄土宗励声山 大法寺

所在地:〒496-0907

愛知県愛西市稲葉町江頭10番地

電話:0567-28-7319

URL:https://www.daihouji.org/

 

住職:長谷雄蓮華

X:https://x.com/radioshowrenka

Facebook:https://www.facebook.com/renka.hasewo

 

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