第17回葬儀・法要コラム「故人との最後の対面」

故人との最後の別れ

 

 告別式が終わると、葬儀社の手を借りて近親者や友人が棺を祭壇から下ろし、頭が北を向くように置きます。棺の蓋を開けて、遺族・近親者・親しい友人・知人など、故人と縁の深い順に最後の対面をします。

 別れに際しては、棺に花を入れる別れ花を行うように遺族から案内がされます。花は葬儀担当者が、おぼんに入れて準備して手渡してくれますが、自分で入れたい花を入れることもできます。その場合には、華美な包装をしないようにします。

 別れ花は仏教上の儀式ではなく、通例です。仏教では、生きている花を切る行為は、殺生として嫌われるので、別れ花という儀式はありません。なお、紙で作った蓮などの花、お香、線香なども入れることがあります。

 別れ花と一緒に、故人の愛用品や家族の写真などを棺の中に入れることもあります。基本的に入れて良いものは、火葬したときに一緒に燃えるものだけにしましょう。金属やガラス、カーボン素材のものは、火葬中に遺骨や火葬炉を傷つけてしまう恐れがあります。

その他、爆発物、燃えにくい厚い本、果物なども不可です。どうしても一緒に入れたい場合は、骨壷のなかに入れるようにするとよいでしょう。わからないときは葬儀社に確認しましょう。

 

釘打ちの儀式

 

 最後のお別れがすむと、釘打ちの儀式が行われます。

 棺の蓋に葬儀社が半分打ち込んだ釘を、喪主・遺族・近親者・友人・知人の順に、こぶし大の小石でコツコツと軽く2回ずつたたいていくものです。最後に葬議社の人が金槌で封じるのが一般的です。

 棺に蓋をするときに、死者が渡ると言われる三途の川を渡り、無事に浄土へたどり着くように願いを込めるなどの理由から、蓋に釘を打つ場合もあります。

 ただし、宗派によって、あるいは、燃え残るという事情から、釘を打たないこともあります。釘を打たない場合は、棺に蓋をしてそのまま出棺となります。

 

棺を霊柩車に運ぶ

 

 釘を完全に打ち込んだら、棺を霊柩車まで運びます。遺族・近親者・親しい友人の男性6人ほどの手で棺をかかえます。棺は、かなりの重さになるのでチカラのある男性が運び出します。遺体の足の方を先にして運ぶのが一般的です。霊柩車にも同じく足のほうから納めます。これは、故人が家に帰ってこないようにという意味があります。

 式場から霊柩車まで離れている時は、喪主が位牌をを持って先頭に立ち、喪主に次ぐ遺族が遺影を持って続き、棺を先導します。かつては死者の霊が戻ってこないように様々な風習がありました。

 自宅から出棺する場合、通常の出入り口である玄関を避けて、縁側から運び出すところや、故人が使っていた茶碗を割る風習がある地域もあります。

 出棺に先立ち、霊柩車に棺をのせたら、見送りに並んだ弔問客に、喪主もしくは遺族代表からお礼を述べます。喪主の挨拶を経て火葬場へと向かいます。

 

 

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